7月のおはなし ~不忍池の弁天さま~

7月から8月上旬にかけて不忍池の蓮が見ごろを迎えます。
この不忍池には中之島という人工の島があり、そこには辯才天(べんざいてん)を祀る寛永寺の辯(弁)天堂があります。

辯(弁)才天は音楽と芸能の守り神として広く信仰され、また音が同じである辯“財”天とも書くことから、金運上昇といったご利益もあります。一般には琵琶を持った女神のお姿で知られていますが、当山の辯天さまは八本の腕があり、それぞれの手に煩悩を破壊する道具を意味する武器をお持ちになっている「八臂大辯才天(はっぴだいべんざいてん)」さまです。
また頭上には「宇賀神(うがじん)」という人頭蛇身の神様を乗せ、豊穣をもたらしてくださるとも伝えられています。

これら弁天さまの容姿やご利益は、もともとインド神話で学問や音楽を司る水の女神であったのが仏教に取り入れられる内に変化していったもので、八臂に関する記述は「金光明最勝王(こんこうみょうさいしょうおうきょう)」というお経典の中にみられます。
そしてこのお経典には他にも弁天さまがもつ様々なご利益が説かれているのですが、なんとその中には疫病の除滅も含まれているのです

芸能や財産に関するご利益を求めて弁天さまをお参りされる方はとても多いですが、実はそれらの方々も皆、知らず知らずのうちに弁天さまのご利益により疫病から守られていたのかも知れませんね。

コロナ禍により物理的な距離は離れても、人と人との心の距離は離れないようにとの呼びかけがなされています。そしてそれに加えて頂きたいのが、信心によって繋がる仏さまとの心の距離です。いつも仏さまに見守られているという安心感と、それに見合う自分でいようという自覚。未曾有の災禍による不安な日々も、私たちの心の持ちようで様変わりするのではないでしょうか。

今年(おそらく)一番に開花した蓮 6月20日不忍池南端にて